PDCAとOODA
PDCAとOODAに関する質問がありましたので、解説をしながら利用シーンを説明していきます。
まず、PDCAに関する解説ですが、これは古くから使われている通り、
PDCAとは「Plan(計画)」、「Do(実行)」、「Check(評価)」、「Action(改善)」の頭文字をとったもので、業務の効率化を目指す方法の1つです。日本では1990年代後半からよく使われるようになった方法で、計画から改善までを1つのサイクルとして行います。
もともとは品質管理の研究をしていたアメリカの学者によって1950年代に提唱されたものですが、効果の高さから業務や事業の改善はもちろん、マネジメントの手法としても実用的です。実際、品質管理の実績としてISO 9001と14001という国際基準にもなっています。品質管理の段階から評価され現在では多岐にわたる分野で活躍できるフレームワークです。目標に向けて行動するためには非常に効果的です。
OODAは、「Observe(観察)」「Orient(仮説構築)」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」の4つの頭文字をとったもので、プロセスを精度の高い素早いアクションを生み出すことができます。
OODAは聴き慣れない言葉なので、さらに解説しますと、
観察(Observe)
観察し、状況を判断します。客観的なデータを集め、自社の状況、他者の状況や社会情勢を把握します。PDCAのように中長期的計画ではなく、あくまで現状分析に過ぎません。
方向づけ・仮説構築(Orient)
観察(Observe)によって得た情報をもとに、仮説を立てます。間違った仮説にならないよう、慎重に、論理的に、客観的に構築します。Act(実行)から次のループに入った時、解説が間違っていたと分かれば、再度、仮説を組み立て直します。
選択(Decide)
仮説構築ができたら、次に意思決定のフェーズです。仮説をもとに、どのようなプランで進めていくかを決めていきます。この際、さまざまな選択肢が出てくると思います。どうなりたいかというビジョンに対し、最速でたどり着ける選択肢を選ぶと良いでしょう。
行動(Act)
選択した事柄を実行します。選択の段階で、外部や内部の環境が変わっていることもあり、実行したことが上手くいかないケースもあるでしょう。OODAループは、何周もさせることを前提とした意思決定プロセスのため、失敗を憂慮しすぎず、大胆に実行することが大切です。
最近ネットでは、PDCAはもう古いから、OODAを使うべきと記載されているサイトもありますが、当社としては、シチュエーションによってどちらを使うのかは変わってくるので、併用する事を推進したいと考えています。
では、どういうシチュエーションでPDCAを使い、どういうシチュエーションでOODAを使うのかを解説したいと思います。
まず、PDCAですが、これはお客様や会社(上司)などから品質管理目標や改善目標などのゴールが示されている場合に有効な手法です。例えば、現状(ASIS)の顧客満足度が5点満点中の3点だったとします。これを5年後(TOBE)には5点にしたい。この為に、直近2年間で4点にしてほしい(CANBE)というゴールを出されたとします。そうすると、このゴールに対する計画(Plan)が作れますよね?そして、Do→Check→Actionと繋がっていきます。
要するに、ゴールが明確になっているものに対しては、PDCAの手法を採用するのが良いという事になります。
逆に、OODAに関しては、短期的にすばやくゴールを導き出さないといけない場合に有効な手法です。例えば、ヘルプデスク業務の中で、お客様からの製品やサービスに対する「利用方法」の問い合わせが増えてきたとします。そうすると、まずどういう背景でそういう問い合わせが発生しているのか、どのような対策を実施しないといけないのか(Observe(観察))をして、事実を把握します。その後に、解決案を数多く議論(Orient(仮説構築))し、対策を確定(Decide(意思決定))し、対策を実行(Action)します。
要するに、ゴールやPlanをじっくり吟味するような長期的な対応ではなく、問題解決や新たなサービスを生み出すような素早い対応が必要になった場合は、OODAを活用するのが現実的です。
このように、決してPDCAが古いというわけではなく、シチュエーションによってPDCAとOODAを使い分けるという事を考えていくようなマネジメントをしていきましょう。
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