ホンダがテレワークを辞める真意
まさに、今リモートワークなのかローカルワークなのかを検討している最中で、本当にこのままリモートワークでいいのか、やはりローカルワークなのか、それとも折衷案を検討すべきか悩んでいるところでした。
そこで、あの日本を代表する大企業HONDAが全てローカルワークに切り替えると発表したわけです。
HONDAは、そもそも電気自動車の普及によって、HONDAの魅力の根幹となっていたエンジンを捨てるという分岐点にきていて、ソニーと組んで時代の変化へ追従するという大きな決断をしていますよね。さらにウクライナとロシア戦争によって高騰したガソリンも影響して、電気自動車の生産は加速をしていっています。
この背景で、なぜローカルワークを推進するのか。
今、私達が悩んでいる働き方の方針に関して何らかのヒントがあるのではないかという事で、興味が湧いてくるわけです。
HONDAがこの記事の中で記載してある事は、『三現主義で物事の本質を考え、更なる進化をうみ出すための出社/対面(リアル)を基本にした働き方』にシフトしたいと言っていますね。
三現主義というのは、「机上の空論ではなく、実際に“現場”で“現物”を観察し、“現実”を認識した上で問題解決を図るという考え方」ですね。要するに何事もバーチャルではなく、目で見て自分の肌感で前進するという事何だと思います。
この考え方は非常に共感する部分があって、私達も仕事を推進する中で、いくらIT企業といえども、そのほとんどはパソコンを使って仕事をしているに過ぎず、その影響でうつ病を発症してしまっていないか?とか、「これできます!」と答えたその本人が無理だと思いながら言った言葉なのか余裕があって言った言葉なのかも分からない。
お客様との打ち合わせでも同じく、何が困ってて、依頼したい本質は何なのか?というのは、お客様の顔を見ないとわからない。
要するに、リモートワークによって、「空気を読む」という事ができなくなってきているわけです。
空気を読めないという事は、お客様の喜びが本物なのか社交辞令なのかもわからない。従業員が前向きに発言しているのか、後ろ向きに発言しているのかもわからない。
HONDAは、目に見えるアナログな商品を提供しているわけなので、IT企業とは違ってそもそもリアルな世界で仕事をしなければならない。
昨今では、新卒の方が就活するなかで、リモートワークができない企業は選ばないという風潮があるようですが、完全リモートワーク・完全ローカルワーク・リモートワークとローカルワーク半々かどうかを会社が判断するとき、このような指標で判断できるのかもしれない。
商品は? | 事務作業は? | 従業員は? | 備考 | ワークスタイル |
デジタル商品 | デジタル化済 | 関係が深く長い | – | 完全リモートワーク |
デジタル商品 | デジタル化済 | 関係が浅い人がいる | 当社 | リモート・ローカル半々 |
アナログ商品 | アナログ状態 | – | – | 完全ローカルワーク |
アナログ商品 | デジタル化済 | – | HONDA | 完全ローカルワーク |
デジタル商品 | アナログ状態 | – | – | リモート・ローカル半々 |
やはり、商材がアナログであった場合、HONDAの考え方は正しい気がします。デジタル商品を扱っていたとしても、社内事務処理がクラウド化できていない場合もローカルワークが必要でしょう。
完全にリモートワークに移行できるのは、扱っている商材がデジタル商材であって、社内事務処理もクラウド化されている状態。ただ、一番大切なのは、仕事をするチームの従業員との関係が3年以上と長く、何でも言い合える深い関係であれば、完全リモートでもいいと思います。
仕事するチームの従業員との中で、関係性が浅い人がいると、やはり完全リモートワーク化してしまうと「従業員の本音」を空気で読み取る事ができないので、定期的に出社していただくという対応の方がベストな気がします。
新卒の方が「リモートワークでないと就職したくない」という声はもちろん拾っていく必要がありますが、完全リモートワークが必ずしも正しい選択ではないという事は理解しておく必要がありますね。