企業体質の所感
10時間にも及ぶ記者会見を拝見して、正直なところ少し恐怖を感じてしまう部分がありました。フジテレビで実際に何があったのかは一旦置いといて、怖いなと思ったのは、噂の怖さ・バージョンアップしない企業の危うさ・関係者との距離感の考え方に当社も他人事ではなく、真摯に向き合っていく必要のある事なのだろうという所感です。
やはり、日頃の横柄な態度や生活態度がきちんとしていないと、悪い噂が大きくなるという事。そして、世の中の常識(多数決の論理)を意識して、自分をバージョンアップしなければ、いつの日か古い考え方で、間違った判断をしてしまうのであろうという事。最後に、関係者との距離感です。仲良く宴会をしていると感じていても、相手はそうは思っていないかもしれないという考え方を常に持っていないと、立場のある人は楽しんで参加していても、相手はハラスメントと捉えている方もいるかもしれない。
自分達も襟を正して、ただの他人事としてではなく、自分事として考えていかなければいけない事案だと考えています。
少し、フジテレビの事を整理してみました。フジテレビは、
1. エンターテインメント志向の強さ
フジテレビは、1980年代から1990年代にかけて「楽しくなければテレビじゃない」というスローガンのもと、日本のテレビ業界をリードしてきた放送局です。バラエティ番組やドラマ、音楽番組などエンターテインメントに特化したコンテンツ制作に強みを持ち、視聴者を楽しませる姿勢が企業文化に根付いている立派な企業かと思います。
2. 時代に応じた柔軟な番組制作
1980~90年代の「トレンディドラマ」ブームを牽引したり、「めちゃ²イケてるッ!」「笑っていいとも!」などの人気バラエティ番組を生み出したりするなど、時代に応じたコンテンツ作りが得意な印象があります。ただし、近年はテレビ離れや視聴率低迷の影響もあり、かつての勢いが落ちているとも指摘されている企業。コンテンツは、放送禁止用語等を反映したうえで、ギリギリのコンテンツ作りだできるという意味では、常識をきちんと把握しながら対応できている素晴らしい企業かと思います。
3. 社内の縦割り体質と閉鎖性
フジテレビは長らく「フジサンケイグループ」の一員として独自の企業文化を持ち、系列企業との結びつきが強い傾向にあります。また、社員の入社経路も伝統的に縁故やコネの影響が大きいとされており、新しい風を入れにくい体質だとの指摘もあります。ここが、今回の根深い原因なのではないかなと思っています。企業内がブラックボックス化されている為に、外が見えなくなって、常識がバージョンアップできなくなったのではないかと思っています。
4. 視聴者との距離感の変化
かつては「視聴者に最も近いテレビ局」として親しまれていましたが、近年は番組の質や内容に関する批判が増え、視聴者との距離感が広がっている印象があります。SNSなどの影響で視聴者の意見が直接反映される時代になったにもかかわらず、視聴者のニーズを的確に捉えられていないと感じる人も多いようです。
5. 経営の変化とデジタル戦略
近年はテレビ離れや広告収入の減少により、収益構造の多様化が求められています。フジテレビも動画配信サービス「FOD」を展開するなど、デジタルシフトを進めていますが、NetflixやAmazon Prime Videoなどの強力な競争相手がいる中で、独自のポジションを築くことが課題となっています。
6. 改革の必要性
フジテレビは、かつての栄光に固執せず、視聴者の価値観やメディアの変化に適応する必要があります。より開かれた組織文化を醸成し、新しい才能を積極的に取り入れることで、再び「革新的なテレビ局」としての存在感を取り戻すことが期待できるのではないでしょうか。
総評
フジテレビは、エンタメ志向が強く、過去には数々のヒット番組を生み出してきた実績があります。しかし、近年は視聴者との距離感の変化、デジタルシフトの遅れ、社内の縦割り体質などの課題が指摘されており、競争の激しいメディア業界で再び存在感を示すためには、まず外を見る・異なる人材を入れる等が必要なのかなと思います。私たちも、積極的に人を雇用する事を推進しており、色々な発見や、常識の違いというものを目の当たりにし、改善に繋げたりする部分がありますが、知らず知らずのうちに、バージョンアップが止まらないように心得て襟を正したいと思います。