行き過ぎるとこうなるIT社会
中国に詳しい知人に聞いた話なのですが、経済成長を遂げた中国国内では街中の監視カメラやドローンを使った監視システムが凄いらしいです。今度時間がある時に視察に行ってみようかと考えているのですが、その知人いわく、中国は信号無視した人を横断歩道の側にある大画面液晶に映し出して警告したり、車の運転をしているとランダムに車の前にドローンが飛んできて、運転者を確認したりするそうなんです。それだけされると強固な監視社会になりますよね。
日本が経済成長した時には、まだITというモノもありませんでしたし、経済成長が安定期に入った現在では、人を守る文化が発達した事から、プライバシー保護の観点でそこまでの監視社会ではなっていませんが、町中に監視カメラが設置されて、犯人逮捕にも繋がっていたりもします。
ただ、中国の監視社会はさらに進んでいて、「監視カメラのふりをした顔認証カメラ」というのが設置されています。
当時、私達の会社でも社内に監視カメラを設置し、従業員同士のトラブルやリモートから指示をしたりする際に便利だという事と、取引先の機密情報を扱う仕事もしていましたので、情報漏洩が発生した場合の証拠資料として監視カメラの動画保管を3年間実施するという事で実施していました。
しかし、意外なクレームが発生したのです。
「会社は、私達を監視していて、トイレにまで隠しカメラがあるのではないか?」という都市伝説のような噂話が広がったわけです。
IT企業がITを駆使したオフィスを作り上げようとした時に、人ってそんな感情になるんだ・・と驚いた思い出があります。
さらに、現在コロナウィルス対応でTeamsでWeb会議を繋げて仕事をしていて、何かあったらすぐ対応してほしいし、出勤状況が分かりずらいので、Web会議は常時カメラをオンにして繋げて置いてほしいというお願いをしたのですが、「プライバシーがない」と凄い反発がありました。
「出社するのと、Web会議を繋げている事の何が違うんだろう・・」という気持ちがありましたが、オフィスにいる時は、ドアップで顔を見ていませんし、あくびしててもそこまで目立たないですが、確かにWeb会議だと丸見えですよね。
なので、逆の立場になったら、そうなのかな・・と思いましたが、人の感情は様々です。
このような私達の会社ですら、人は監視をされたくないという想いがある中で、中国はこれ以上の監視が行われているわけです。
確かに、そもそも中国は政府に反発したら弾圧される国でもあります。先日も、無許可集会を扇動した罪で服役していた香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)氏が12日、刑期を終えて出所したという報道がありました。
なので、日本よりも政府に対して反発すると弾圧されるという体質がありますので、監視社会に対する体質はあると思います。
ただ、この「監視カメラのふりをした顔認証カメラ」というのは、ただ単にその人の映像が記録されるだけではなく、顔認証によって個人の情報が収取されて、中国の警察官が付けているスマートグラス(顔認証情報が映し出されるメガネ)にその人の情報が写し出されるようになったりするわけです。
そうすると、その人の出身地や犯罪歴・結婚歴とか、プライベートな情報がすぐ把握できるので、いちいち職務質問する事もないですし、コミュニケーションも効率が良いかもしれませんが、それは管理する側の都合だけで、管理される側は居心地が悪い。
だったら、監視のない他国で仕事した方が気楽なのではないか?
という流れになっていくと思います。
経済大国になった中国の企業がなぜ日本に進出したくなるのか。中国から出て仕事をしようとするのか。少し理解してあげたくなりました。
せっかく進化したIT技術を、人を管理する事に利用しすぎると、そこにアナログな人間はモルモットになった感覚になって、逃げ出したくなるんですね。やはり、IT技術もほどほどに、管理だけではなく、人々の大多数が喜ぶIT技術にしないといけないです。